■肝臓病
前院長も専門領域で、2代目院長も専門としてまいりました。
これまで肝炎ウイルスやアルコールを中心に加療が行われてきた肝臓も、ここ数年は生活習慣を背景とした疾患に様変わりし、文字通り肝は体の「きも」となりました。
体の好不調のバロメーターとしての役割が肝臓です。必要以上に恐れることもなければ、あいまいにすることもありません。沈黙の臓器と言われる肝臓の声に素直に耳を傾けることが最善の治療となります。
以下各論です。
◆B型肝炎・C型肝炎B型肝炎は抗ウイルス剤の内服でウイルスを感度以下に落とすことが可能となり、C型肝炎も経口抗ウイルス薬でほぼ駆除可能となりました。
つまり、すみやかにB型・C型肝炎にかかっていることを患者さんが知ることが最善の方法となりました。ご心配な方はいつでもご相談ください。一生に一度の検査で感染の状況がわかります。その後のフォローも責任をもって行います。
◆脂肪性肝炎脂肪肝からの肝炎(脂肪性肝炎)が問題になってまいりました。現状としてはアルコールの関与と、アルコールの関与しない脂肪性肝炎に大別されます。
アルコールについては、節酒が重要となります。「休肝日」なる概念は、1週間の総量を規制するためのものであって、週1,2回酒を抜いたからといって大きく変わるものではありません。大酒の翌日は、おからだ全体のことを考えて控えたほうが望ましいでしょう。せっかくの楽しみをむやみに奪わないよう、一緒に適切なアルコール量を考えていきましょう。
非アルコール性脂肪性肝炎:NASHが話題になっています。5−10%の脂肪肝で起こると言われていますが、逆に申しますと90‐95%は脂肪肝のままなのです。ですのでいたずらに生活習慣の見直しを一律におしつけることなく、リスクになりうる部分を直していけばよいと考えています。
最近は糖尿病や脂質異常症との密接な関連が解明されつつあり、ただ肝臓のみを診るのではなく、 さらに世界規模での議論が行われ、NASHにかわり、MASH/MASLD(Mは代謝のmetabolic)の概念がでてまいりました。「代謝」は、生きていくうえで必要なエネルギーや物質を取得したり産生したりすることで、生活習慣と表裏一体です。日常生活を十分にエンジョイしつつ、定期受診を受けていきましょう。 重要なことは「生活にメリハリをつけること」「やめたほうがよいことは徹底してやめること」です。